アーバンシステム環境通信No.143
2025/02/20

蛍光灯の製造と輸出入が中止となる「2027年問題」ってご存じですか?
蛍光灯はこれまで一般的な照明として広く普及していました。ところが、蛍光灯には水銀が使われており、「水俣病」の原因となった水銀を規制するため、2013年に「水銀に関する水俣条約」が採択され、2023年の「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」にて、2027年末までに水銀を使用した蛍光灯の製造と輸出入の禁止が決まりました。「2027年問題」は2027年末までの蛍光灯の製造及び輸出入の禁止に伴う問題の事を言います。

水銀の規制が目的と言っていますが、実は、蛍光灯に含まれる水銀は無機水銀の一種で、水俣病の原因となった有機水銀とは異なります。しかし、無機水銀も安全ではなく、何らかの原因で放出されると無機水銀は、微生物によって有機水銀に変化する可能性があり、無機水銀自体も、環境や人体に有害な影響を与えるかもしれないのです。例えば、使用済みで回収した蛍光灯が破損し、そこから水銀が漏れて土壌や水質汚染を起こす危険があります。そこで結果的に蛍光灯の無機水銀も水俣条例の規制対象となりました。
では、これまでの蛍光灯はどうしたら良いのでしょう。2027年末の規制後もそれまでの在庫としてある蛍光灯は使用できますが、照明のLED化が進められており、多くのメーカーでは段階的に蛍光灯の製造を廃止しています。交換する場合、直管型の蛍光灯を使用していると、対応可能な直管型LEDにそのまま交換は出来ますが、多くは照明器具ごと交換となります。(但しLED対応している機器に限る)

では、蛍光灯からLED照明に交換するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
●メリット1 電気代の削減
LED照明は消費電力が白熱電球の約1/6、蛍光灯の1/2程度とされており、節電効果があり電気代を抑えられます。
●メリット2 発熱量が少ない
蛍光灯多くの熱を発生しますが、LEDはエネルギーを光に効率よく変換し、熱をあまり発生させません。そのため、室温上昇を抑えて空調費用の削減にもつながります。
また蛍光灯は熱を持つことで照明機器の劣化を早めます。
●メリット3 寿命が長い
LED照明は、蛍光灯の約4倍の40,000~50,000時間の点灯が可能であると言われています。長持ちするためコストパフォーマンスが高いです。
●メリット4 耐久性が高い
蛍光灯はガラスが使用され、割れやすいという特徴がありますが、LEDはポリカーボネートなどの割れにくい素材で作られており、衝撃に強く耐久性があります。
●メリット5 虫が寄りにくい
LEDは点灯中に虫を引き寄せにくいという特徴があります。蛍光灯は微量の紫外線を発するため、虫が寄りやすいのですが、LEDは紫外線をほとんど発しないため、虫の寄りつきを防げます。
●メリット6 環境保護に貢献
LEDは消費電力が少なく、エネルギー効率が高いため、エネルギーを発生させる過程で排出されるCO2の削減に貢献できます。また、LEDは水銀や鉛など有害物質を使用していないため、廃棄時の処理も簡単です。
その一方、デメリットも
✕デメリット1 初期投資にお金がかかる
ランプだけでなく照明機器ごと交換が必要となる場合が多いので、機器代に合わせて施工費用がかかる
✕デメリット2 材料費の高騰
材料となる樹脂や鋼材などの価格高騰により、メーカーでの照明機器の値上げが行われています。
また、蛍光灯の生産が終了後、市場での在庫が少なくなるため、供給不足により蛍光灯も価格が上昇すると言われています。
東京都民が蛍光灯などの照明機器を省エネ性能の高いLEDに買換えた場合、「東京ゼロエミポイント」を付与し助成が受けられます。
東京ゼロエミポイント https://www.tz-points.jp/
LED照明機器 購入のみ 4,000円・取り換え作業が発生した場合 6,000円

2027年以降も、それ以前に製造・輸出入された蛍光灯は使用できますが、いずれ在庫は無くなります。政府は、LEDなどの高効率照明が、2020年までにフロー(出荷)で100%、2030年までにストック(設置)で100%普及することを目標としています。
すでに従来の蛍光灯照明をLED照明化への需要が高まっていて、LED照明や関連器具の価格上昇も危惧されています。今後の供給懸念やコスト変動に対応するためにも早めにLED照明に交換してみてはいかがでしょうか。
参照:環境省https://www.env.go.jp/chemi/tmms/lamp.html
記者:アーバンシステム株式会社 岩松美千子
アーバンシステム環境通信No.143
2025/02/20

蛍光灯の製造と輸出入が中止となる「2027年問題」ってご存じですか?
蛍光灯はこれまで一般的な照明として広く普及していました。ところが、蛍光灯には水銀が使われており、「水俣病」の原因となった水銀を規制するため、2013年に「水銀に関する水俣条約」が採択され、2023年の「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」にて、2027年末までに水銀を使用した蛍光灯の製造と輸出入の禁止が決まりました。「2027年問題」は2027年末までの蛍光灯の製造及び輸出入の禁止に伴う問題の事を言います。

水銀の規制が目的と言っていますが、実は、蛍光灯に含まれる水銀は無機水銀の一種で、水俣病の原因となった有機水銀とは異なります。しかし、無機水銀も安全ではなく、何らかの原因で放出されると無機水銀は、微生物によって有機水銀に変化する可能性があり、無機水銀自体も、環境や人体に有害な影響を与えるかもしれないのです。例えば、使用済みで回収した蛍光灯が破損し、そこから水銀が漏れて土壌や水質汚染を起こす危険があります。そこで結果的に蛍光灯の無機水銀も水俣条例の規制対象となりました。
では、これまでの蛍光灯はどうしたら良いのでしょう。2027年末の規制後もそれまでの在庫としてある蛍光灯は使用できますが、照明のLED化が進められており、多くのメーカーでは段階的に蛍光灯の製造を廃止しています。交換する場合、直管型の蛍光灯を使用していると、対応可能な直管型LEDにそのまま交換は出来ますが、多くは照明器具ごと交換となります。(但しLED対応している機器に限る)

では、蛍光灯からLED照明に交換するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
●メリット1 電気代の削減
LED照明は消費電力が白熱電球の約1/6、蛍光灯の1/2程度とされており、節電効果があり電気代を抑えられます。
●メリット2 発熱量が少ない
蛍光灯多くの熱を発生しますが、LEDはエネルギーを光に効率よく変換し、熱をあまり発生させません。そのため、室温上昇を抑えて空調費用の削減にもつながります。
また蛍光灯は熱を持つことで照明機器の劣化を早めます。
●メリット3 寿命が長い
LED照明は、蛍光灯の約4倍の40,000~50,000時間の点灯が可能であると言われています。長持ちするためコストパフォーマンスが高いです。
●メリット4 耐久性が高い
蛍光灯はガラスが使用され、割れやすいという特徴がありますが、LEDはポリカーボネートなどの割れにくい素材で作られており、衝撃に強く耐久性があります。
●メリット5 虫が寄りにくい
LEDは点灯中に虫を引き寄せにくいという特徴があります。蛍光灯は微量の紫外線を発するため、虫が寄りやすいのですが、LEDは紫外線をほとんど発しないため、虫の寄りつきを防げます。
●メリット6 環境保護に貢献
LEDは消費電力が少なく、エネルギー効率が高いため、エネルギーを発生させる過程で排出されるCO2の削減に貢献できます。また、LEDは水銀や鉛など有害物質を使用していないため、廃棄時の処理も簡単です。
その一方、デメリットも
✕デメリット1 初期投資にお金がかかる
ランプだけでなく照明機器ごと交換が必要となる場合が多いので、機器代に合わせて施工費用がかかる
✕デメリット2 材料費の高騰
材料となる樹脂や鋼材などの価格高騰により、メーカーでの照明機器の値上げが行われています。
また、蛍光灯の生産が終了後、市場での在庫が少なくなるため、供給不足により蛍光灯も価格が上昇すると言われています。
東京都民が蛍光灯などの照明機器を省エネ性能の高いLEDに買換えた場合、「東京ゼロエミポイント」を付与し助成が受けられます。
東京ゼロエミポイント https://www.tz-points.jp/
LED照明機器 購入のみ 4,000円・取り換え作業が発生した場合 6,000円

2027年以降も、それ以前に製造・輸出入された蛍光灯は使用できますが、いずれ在庫は無くなります。政府は、LEDなどの高効率照明が、2020年までにフロー(出荷)で100%、2030年までにストック(設置)で100%普及することを目標としています。
すでに従来の蛍光灯照明をLED照明化への需要が高まっていて、LED照明や関連器具の価格上昇も危惧されています。今後の供給懸念やコスト変動に対応するためにも早めにLED照明に交換してみてはいかがでしょうか。
参照:環境省https://www.env.go.jp/chemi/tmms/lamp.html
記者:アーバンシステム株式会社 岩松美千子