アーバンシステム環境通信No.142
2025/01/30
アーバンシステム環境通信 No.142
2025年1月30日

間もなく2月、バレンタインデーの季節となりました。チョコレートを渡して愛の告白、仲の良い友人と友情を深める友チョコ交換、この時期にしか食べられない高級チョコレートを買って、自分へのご褒美にと、様々な目的で購入し、甘くておいしいチョコレートを楽しまれる方が多いのではないでしょうか。でも、そのチョコレートがどのような現場で生産され、どのような流通を経て消費者に届いているのか、なかなか知られていないものです。今回はみんな大好きな「チョコレート」に焦点を当て、環境問題を考えていこうと思います。
近年注目されているのは、社会や環境に配慮した原料や製法で作られ、公正に取引されたエシカル製品のチョコレートがあります。エシカルは倫理的な道徳的なという意味の英単語で「法的な縛りはないが、人として守るべきもの」「多くの人が持っている善悪・正邪の判断基準」のことをいいます。そういった意味を持つエシカルのチョコレートには様々なタイプがあるのでご紹介します。
■原材料のこだわり
チョコレートの原料はカカオ豆から作られています。化学物質を使用せず持続可能な製法で作られたカカオをサステナブル・カカオと呼び、生産国のカカオ農家の生活向上を考慮し、地球環境に配慮した生産方法で生育して、収穫されたカカオ豆のことを言います。
■生産者の抱える問題解決(フェアトレード)
カカオを生産する農家で様々な問題を抱えていることもあります。
カカオ生産者の問題
・カカオ生産者の貧困(生活に十分な収入を得られない)
・カカオ生産者の子どもが学校に通えず、教育を受けられない
・カカオ農園で子どもが、過酷な労働を強いられている(児童労働)
・生産者の高齢化による、後継者不足
これらの問題をクリアにし、生産者と公正な取引が行われているチョコレートがフェアトレード製品のチョコレートです。フェアトレードのチョコレートを選ぶ場合は、その指標として、認証マークの入った製品を購入しましょう。
生産者が環境に配慮し良い製品を作る為には、消費者もフェアトレードの意識を高める必要があります。そして、それに見合う適正な対価が生産者に支払われなければ生産農家の抱える問題を解決することは出来ません。
■生産者の栽培技術支援(カカオトレース認証)
「カカオ生産者とともにおいしさを生み出す」ピュラトス社独自のサステナブル・プログラムです。カカオ生産者の栽培技術を支援し、売上の一部を「チョコレート・ボーナス」としてカカオ生産者やカカオ農村に還元しています。カカオトレースは、カカオ豆の品質向上に重点をおき、専門施設でカカオ豆の発酵および乾燥工程を一元管理して、より高品質なカカオ豆の生産につなげています。
カカオトレース特設WEBサイト https://www.cacaotrace.com/ja
ピュラトスジャパン株式会社 https://www.puratos.co.jp/ja
■バルクタイプチョコレート
パルクとは、量り売りの製品です。欲しい分、本当に必要な分だけ量り売りで購入します。無駄のない消費をすることができます。ビオセボンはこのシステムを取り入れており、選ぶ楽しさもあり人気です。
https://www.bio-c-bon.jp/article/bulk-order/
■エコフレンドリーなパッケージ
リサイクル可能な素材やバイオプラスチックを使用しています。
■環境保護活動への寄付
製品の一部収益が環境保護団体に寄付されることがあります。
「1チョコfor1スマイル」https://www.morinaga.co.jp/1choco-1smile/
森永製菓ではチョコレート1箱につき1円を、ガーナなどカカオ生産する国の子供たちの教育環境の改善や、児童労働問題への取組みの支援をしています。
■アグロフォレストリー
「森をつくる農業」のアグロフォレストリー農法にて作られたチョコレートで、森林伐採後の荒れた土地を整え、自然の生態系にならった多種の農林産物を共生させながら栽培する農法で生産します。この農法が農家の安定した生活を支え、森林再生への貢献にも繋がります。
https://www.meiji.co.jp/products/brand/agroforestry/
■サステナブルチョコレート製品について
ここからは具体的に取組みをしているチョコレートの事例をご紹介します。
●Tony's Chocolonely https://jp.tonyschocolonely.com/
オランダ生まれのチョコレートで特に奴隷制度に立ち向かっています。パッケージには「Crazy about Chocolate, Serious about People」(直訳すると、チョコレートに夢中、人に対して真剣)との記載があり、「世界中のチョコレートを100%強制労働に頼らないものにする」という目標を掲げ、カカオ農園で起きている奴隷制を廃止し、また、他のメーカーに影響を与えることを目的としています。購入することが奴隷制を廃止するアクションにつながっています。

●People Tree
ピープルツリーのチョコは、有機栽培に力を入れている生産者団体が育てたカカオ豆を使用しています。心を込めてつくった農作物を、ふさわしい値段で買い取ることによって日々の生活を支え、生産者の健康や環境を守り、教育支援などのサポートをしています。また、森林伐採をした土地ではなく、農業と林業を両立させるアグロフォレストリーをおこなっている農園と取り引きしています。

●おいもアップサイクルショコラ アムール・デュ・ショコラ2025|高島屋
干し芋の生産過程生じる未利用部分(皮)をほしいもピールとして加工し、それを高島屋のプロデュースにより、有名7ブランドからおいものアップサイクルショコラとして販売されました。さつまいもに含まれる栄養分は皮の部分に多く集積されており、これまで食品ロスとして扱われてきた部分を独自技術で加工した結果、糖度50度相当の甘味とカリカリ食感を実現しています。これまで廃棄物として捨てられていたほしいもの皮がアップサイクル製品として生まれ変わりました。

■認証ラベル商品を選ぶ
ここまでご紹介した製品の多くは、様々な認証マークが付いているものが多くあります。
ただ安いからと言って商品を買うのではなく、商品に付いているサステナブルラベルを見て購入するのは良い判断基準となります。
●国際フェアトレード認証
その原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「国際フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルです。またこのラベルは、農場から認証製品として出荷されるまで完全に追跡可能であり(物理的トレーサビリティの適用)、さらにコーヒーやバナナなど認証原料100%からなる製品に表示されます。

●有機JAS
農薬や化学肥料に頼らず、自然の力で生産された食品に付けられるマークで、農産物だけでなく加工食品や畜産物にも付けられます。日本では、このマークがついた食品にだけ「有機」や「オーガニック」などと表示できることになっていて、マークがないのにそのような表記をした場合は違法となるそうです。

●レインフォレスト・アライアンス認証
持続可能な農業を推進するための包括的な認証制度で、森林保護、労働者の人権尊重、気候危機への対応などを評価し付けられるマークです。この認証の基準を満たした農園で生産された作物が製品に使用されていることを示しています。

いかがでしたか。心のこもった愛の告白は、自然環境に優しいチョコレートを添えるのはいかがでしょうか。大切なひとに大切な願いで作られたチョコレートできっと想いが届くでしょう。
記者:アーバンシステム株式会社 岩松美千子
アーバンシステム環境通信No.142
2025/01/30
アーバンシステム環境通信 No.142
2025年1月30日

間もなく2月、バレンタインデーの季節となりました。チョコレートを渡して愛の告白、仲の良い友人と友情を深める友チョコ交換、この時期にしか食べられない高級チョコレートを買って、自分へのご褒美にと、様々な目的で購入し、甘くておいしいチョコレートを楽しまれる方が多いのではないでしょうか。でも、そのチョコレートがどのような現場で生産され、どのような流通を経て消費者に届いているのか、なかなか知られていないものです。今回はみんな大好きな「チョコレート」に焦点を当て、環境問題を考えていこうと思います。
近年注目されているのは、社会や環境に配慮した原料や製法で作られ、公正に取引されたエシカル製品のチョコレートがあります。エシカルは倫理的な道徳的なという意味の英単語で「法的な縛りはないが、人として守るべきもの」「多くの人が持っている善悪・正邪の判断基準」のことをいいます。そういった意味を持つエシカルのチョコレートには様々なタイプがあるのでご紹介します。
■原材料のこだわり
チョコレートの原料はカカオ豆から作られています。化学物質を使用せず持続可能な製法で作られたカカオをサステナブル・カカオと呼び、生産国のカカオ農家の生活向上を考慮し、地球環境に配慮した生産方法で生育して、収穫されたカカオ豆のことを言います。
■生産者の抱える問題解決(フェアトレード)
カカオを生産する農家で様々な問題を抱えていることもあります。
カカオ生産者の問題
・カカオ生産者の貧困(生活に十分な収入を得られない)
・カカオ生産者の子どもが学校に通えず、教育を受けられない
・カカオ農園で子どもが、過酷な労働を強いられている(児童労働)
・生産者の高齢化による、後継者不足
これらの問題をクリアにし、生産者と公正な取引が行われているチョコレートがフェアトレード製品のチョコレートです。フェアトレードのチョコレートを選ぶ場合は、その指標として、認証マークの入った製品を購入しましょう。
生産者が環境に配慮し良い製品を作る為には、消費者もフェアトレードの意識を高める必要があります。そして、それに見合う適正な対価が生産者に支払われなければ生産農家の抱える問題を解決することは出来ません。
■生産者の栽培技術支援(カカオトレース認証)
「カカオ生産者とともにおいしさを生み出す」ピュラトス社独自のサステナブル・プログラムです。カカオ生産者の栽培技術を支援し、売上の一部を「チョコレート・ボーナス」としてカカオ生産者やカカオ農村に還元しています。カカオトレースは、カカオ豆の品質向上に重点をおき、専門施設でカカオ豆の発酵および乾燥工程を一元管理して、より高品質なカカオ豆の生産につなげています。
カカオトレース特設WEBサイト https://www.cacaotrace.com/ja
ピュラトスジャパン株式会社 https://www.puratos.co.jp/ja
■バルクタイプチョコレート
パルクとは、量り売りの製品です。欲しい分、本当に必要な分だけ量り売りで購入します。無駄のない消費をすることができます。ビオセボンはこのシステムを取り入れており、選ぶ楽しさもあり人気です。
https://www.bio-c-bon.jp/article/bulk-order/
■エコフレンドリーなパッケージ
リサイクル可能な素材やバイオプラスチックを使用しています。
■環境保護活動への寄付
製品の一部収益が環境保護団体に寄付されることがあります。
「1チョコfor1スマイル」https://www.morinaga.co.jp/1choco-1smile/
森永製菓ではチョコレート1箱につき1円を、ガーナなどカカオ生産する国の子供たちの教育環境の改善や、児童労働問題への取組みの支援をしています。
■アグロフォレストリー
「森をつくる農業」のアグロフォレストリー農法にて作られたチョコレートで、森林伐採後の荒れた土地を整え、自然の生態系にならった多種の農林産物を共生させながら栽培する農法で生産します。この農法が農家の安定した生活を支え、森林再生への貢献にも繋がります。
https://www.meiji.co.jp/products/brand/agroforestry/
■サステナブルチョコレート製品について
ここからは具体的に取組みをしているチョコレートの事例をご紹介します。
●Tony's Chocolonely https://jp.tonyschocolonely.com/
オランダ生まれのチョコレートで特に奴隷制度に立ち向かっています。パッケージには「Crazy about Chocolate, Serious about People」(直訳すると、チョコレートに夢中、人に対して真剣)との記載があり、「世界中のチョコレートを100%強制労働に頼らないものにする」という目標を掲げ、カカオ農園で起きている奴隷制を廃止し、また、他のメーカーに影響を与えることを目的としています。購入することが奴隷制を廃止するアクションにつながっています。

●People Tree
ピープルツリーのチョコは、有機栽培に力を入れている生産者団体が育てたカカオ豆を使用しています。心を込めてつくった農作物を、ふさわしい値段で買い取ることによって日々の生活を支え、生産者の健康や環境を守り、教育支援などのサポートをしています。また、森林伐採をした土地ではなく、農業と林業を両立させるアグロフォレストリーをおこなっている農園と取り引きしています。

●おいもアップサイクルショコラ アムール・デュ・ショコラ2025|高島屋
干し芋の生産過程生じる未利用部分(皮)をほしいもピールとして加工し、それを高島屋のプロデュースにより、有名7ブランドからおいものアップサイクルショコラとして販売されました。さつまいもに含まれる栄養分は皮の部分に多く集積されており、これまで食品ロスとして扱われてきた部分を独自技術で加工した結果、糖度50度相当の甘味とカリカリ食感を実現しています。これまで廃棄物として捨てられていたほしいもの皮がアップサイクル製品として生まれ変わりました。

■認証ラベル商品を選ぶ
ここまでご紹介した製品の多くは、様々な認証マークが付いているものが多くあります。
ただ安いからと言って商品を買うのではなく、商品に付いているサステナブルラベルを見て購入するのは良い判断基準となります。
●国際フェアトレード認証
その原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「国際フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベルです。またこのラベルは、農場から認証製品として出荷されるまで完全に追跡可能であり(物理的トレーサビリティの適用)、さらにコーヒーやバナナなど認証原料100%からなる製品に表示されます。

●有機JAS
農薬や化学肥料に頼らず、自然の力で生産された食品に付けられるマークで、農産物だけでなく加工食品や畜産物にも付けられます。日本では、このマークがついた食品にだけ「有機」や「オーガニック」などと表示できることになっていて、マークがないのにそのような表記をした場合は違法となるそうです。

●レインフォレスト・アライアンス認証
持続可能な農業を推進するための包括的な認証制度で、森林保護、労働者の人権尊重、気候危機への対応などを評価し付けられるマークです。この認証の基準を満たした農園で生産された作物が製品に使用されていることを示しています。

いかがでしたか。心のこもった愛の告白は、自然環境に優しいチョコレートを添えるのはいかがでしょうか。大切なひとに大切な願いで作られたチョコレートできっと想いが届くでしょう。
記者:アーバンシステム株式会社 岩松美千子