アーバンシステム環境通信No.139

2024/10/29

アーバンシステムでは、茨城県坂東市と青森県鯵ヶ沢町の契約農家にてお米作りを中心とした農作業に取り組んでいます。春に田植えを行った稲たちは大きく育ち、稲刈りのシーズンを迎えました。今回は、お米の環境問題と稲刈りについてのお話をさせて頂きます。


その前に、まずはお米の環境問題についてです。

国内全体の令和6年産水稲の作付面積(青刈り面積を含む。)は151万4,000ha(前年産に比べ1万7,000ha減少)と見込まれ、うち主食用作付面積は125万9,000ha(前年産に比べ1万7,000ha増加)と見込まれました。9月25日現在における全国の10a当たり予想収量は544kgと見込まれ、これは、一部地域で5月下旬から6月上旬にかけての低温や6月下旬から7月中旬にかけての断続的な日照不足等の影響があったものの、多くの地域で総じて天候に恵まれ、作柄は平年並み以上と見込まれました。しかし、8月に天候に恵まれたものの高温続きで、天候や気温の影響を大きく受けました。(参照:農林水産省)


お米の収穫は、田植えから稲刈りまでの一日の平均気温の積算温度で収穫時期を見計らうのですが、はれわたりが1300℃、まっしぐらが1200℃です。今年のように暑い日が続くと予定より収穫時期が早くなるほか、高温によってでんぷんが蓄えられず米粒が白く濁る「白未熟粒」ができ、お米の品質にも影響を及ばします。白く濁ったお米は、見た目と味も低下するほか、水分を吸収しやすく、べたっとした炊き上がりになりやすいです。また、たんぱく質は多くなりますが、多すぎるお米はパサつきやすく、美味しくないといわれています。お米のランク付けで最も評価の高い1等米の割合は63%余りで昨年の同時期より大きく下回りました。味や品質は地球温暖化の影響を大きく受けています。


その反面、水田は温室効果ガスであるメタンガスの発生源でもあります。水田からのメタン発生量を減らすことは、地球温暖化の抑制につながると考えられています。中干し期間延長や、稲わらをすき込む時期を早めることで、メタンガス抑制に効果があるとの研究成果が報告されていました。地球温暖化防止の為には様々な関係性を知ることやちょっとした工夫や努力が必要なのですね。


さて、本題の稲刈りのお話です。まずは茨城の田んぼから。ここは元社員がご実家の農業を継がれ、日々農作業を行っています。筑波山の山並みを望むこちらの田んぼでは、今年はコシヒカリを栽培しています。


今回稲刈りに参加したメンバーは、新入社員3名、内定者1名、実習生5名、スタッフ5名、総勢14名の大勢で参加しました。


田んぼに行ってみると強風の影響により、ほとんどの稲が倒れている状態で、手狩りでは手で稲を起こしつつ刈り取る作業となりました。そんな状態の稲ですが、手を添えカマでザクザクと刈って行くと、この刈り取る作業の感覚が、収穫している実感に繋がり、初めて稲刈りを体験したメンバーもすぐにコツをつかんで、リズム良くどんどん刈ってくれました。


その後、稲刈り機にて刈り取る作業も体験しましたが、倒れた稲がコンバインに吸い込まれて行く時に中でどうしても詰まりが起こりやすくなり、途中何度も中断し、詰まりを取っての繰り返しで、この作業には時間がかかりました。


茨城のこちらの農場では、今期、倉庫を一新し、シャワーやトイレなどを新設し、今後当社で主催する様々なイベントに活躍する予定です。現在イベント検討中。田んぼ、畑、自然、地域、史跡など、様々な連携を取るなど楽しみがいっぱいです。お楽しみに。


次は青森での稲刈りです。

ちょうど訪問した時期は雨が多く、機械での稲刈りが難しかった為、手刈りのみの稲刈りをしました。

青森の農場は岩木山からの雪解け水が土壌や川へ流れ、自然豊かでお米作りに適した場所にあります。これまで作っていた「つがるロマン」の品種は昨年で終了し、今年から「はれわたり」という新品種となりました。


「はれわたり」https://www.umai-aomori.jp/harewatari/


2022年にデビューした、青森県の最も新しいブランド米です。もっちりとしてやわらかい食感が特徴で、病気になりにくく生産しやすいお米というのも大きな特徴です。


名前の由来は「このお米で気持ちが晴れやかになるように」という思いが込められています。


誕生の経緯は、それまで、津軽地方でしか栽培できないブランド米の「青天の霹靂」に対し、南部地方でも作れるブランド米として、13年もの開発期間を経て誕生しました。「はれわたり」の親は「青系169号」と「青系170号」という青森産の品種で、父親は良食味、母親は栽培のしやすい品種がルーツとなっています。


また、これまで青森で開発したお米の品種はすべて、県外産の品種混ざっていましたが、純青森産の品種は「はれわたり」が初めてです。


食味ランキングでは2022年に「特A」と評価され、翌年も2年連続獲得しました。


雨が降ったり止んだり不安定な天候の中、雨の上がった合間をぬって手刈りでの稲刈りをスタートしました。稲を見るとこれまでの米粒より少し大きな印象。でも、ひとつの穂になっている米の数が少し少なく感じました。そこで今年の新品種について現地農家の木村さんにインタビューしました。


岩松「今年は新しい品種ですが作った感じいかがでしたか」


木村「はれわたりは、品種改良して出来た品種なのに、収量が少ないです。いもち病には強い。倒伏はしている割には収量が上がらない。倒伏していると普通は収量があるのに今回は違う。重さに耐えられず倒れているのではなく、腰が弱く倒れている感じです。(風や雨で)

穂が小さくて収量が上がらないと、知り合いの農家も言っていた。外面はすごく良いが中を見ると短い、刈ってみると収量が上がらないです。」


岩松「台風や夏の暑さなども影響しているのかもしれませんね」


岩松「品質的にはいかがでしたか」


木村「収量が少ないだけで品質は去年と同様です。」


岩松「このところ、お米の価格が上昇していますが農協や組合での買取りはどんな感じですか」


木村「青森県の米が1番高いです。5キロで5000円とかそんな値段になっています。(普通は2000円くらい)これまで10キロ3000円前後だったのに、今回は4700円くらいとかになります(卸値)。お米バブルがおきています。関東のコシヒカリより高いかもしれない。」


岩松「こちらでは他にどんな品種のお米を作っていますか」


木村「全部で4品種作っています。はれわたり、月あかり、まっしぐら、ゆたかまる(飼料用米)です。なかでも、まっしぐら(業務用向け)は人気ある、作る側も肥料やって作りやすい。倒れないから収量も多い。値段も安く仕入れられて、食味もある程度良い米なので、重宝されている。業務用の外食とかそういうところに使われています。」


岩松「まっしぐらは作りやすく美味しいお米なのですね。ありがとうございました。」


稲刈りの後はこの農場で採れた野菜や地域産のお肉を中心にバーベキューをして頂きました。そして、せっかくなので収穫したての米を炊いて試食。精米仕立てとのこともあり、みずみずしくそして粒が大きくもっちりしたお米。味の濃いバーベキューとの相性もバッチリでとても美味しく頂きました。美味しいご飯ありがとうございます。収穫の喜びを感じた瞬間でもありました。


今後、社員やお世話になった皆様にお届けする予定です。

残念ながら豊作とは言えなかった今年のお米ですが、皆様に美味しくお召し上がり頂きたいと思います。



記者:岩松美千子 

Copyright@2022アーバンシステム All right reserved

Copyright@2022アーバンシステム All right reserved

アーバンシステム環境通信No.139

2024/10/29

アーバンシステムでは、茨城県坂東市と青森県鯵ヶ沢町の契約農家にてお米作りを中心とした農作業に取り組んでいます。春に田植えを行った稲たちは大きく育ち、稲刈りのシーズンを迎えました。今回は、お米の環境問題と稲刈りについてのお話をさせて頂きます。


その前に、まずはお米の環境問題についてです。

国内全体の令和6年産水稲の作付面積(青刈り面積を含む。)は151万4,000ha(前年産に比べ1万7,000ha減少)と見込まれ、うち主食用作付面積は125万9,000ha(前年産に比べ1万7,000ha増加)と見込まれました。9月25日現在における全国の10a当たり予想収量は544kgと見込まれ、これは、一部地域で5月下旬から6月上旬にかけての低温や6月下旬から7月中旬にかけての断続的な日照不足等の影響があったものの、多くの地域で総じて天候に恵まれ、作柄は平年並み以上と見込まれました。しかし、8月に天候に恵まれたものの高温続きで、天候や気温の影響を大きく受けました。(参照:農林水産省)


お米の収穫は、田植えから稲刈りまでの一日の平均気温の積算温度で収穫時期を見計らうのですが、はれわたりが1300℃、まっしぐらが1200℃です。今年のように暑い日が続くと予定より収穫時期が早くなるほか、高温によってでんぷんが蓄えられず米粒が白く濁る「白未熟粒」ができ、お米の品質にも影響を及ばします。白く濁ったお米は、見た目と味も低下するほか、水分を吸収しやすく、べたっとした炊き上がりになりやすいです。また、たんぱく質は多くなりますが、多すぎるお米はパサつきやすく、美味しくないといわれています。お米のランク付けで最も評価の高い1等米の割合は63%余りで昨年の同時期より大きく下回りました。味や品質は地球温暖化の影響を大きく受けています。


その反面、水田は温室効果ガスであるメタンガスの発生源でもあります。水田からのメタン発生量を減らすことは、地球温暖化の抑制につながると考えられています。中干し期間延長や、稲わらをすき込む時期を早めることで、メタンガス抑制に効果があるとの研究成果が報告されていました。地球温暖化防止の為には様々な関係性を知ることやちょっとした工夫や努力が必要なのですね。


さて、本題の稲刈りのお話です。まずは茨城の田んぼから。ここは元社員がご実家の農業を継がれ、日々農作業を行っています。筑波山の山並みを望むこちらの田んぼでは、今年はコシヒカリを栽培しています。


今回稲刈りに参加したメンバーは、新入社員3名、内定者1名、実習生5名、スタッフ5名、総勢14名の大勢で参加しました。


田んぼに行ってみると強風の影響により、ほとんどの稲が倒れている状態で、手狩りでは手で稲を起こしつつ刈り取る作業となりました。そんな状態の稲ですが、手を添えカマでザクザクと刈って行くと、この刈り取る作業の感覚が、収穫している実感に繋がり、初めて稲刈りを体験したメンバーもすぐにコツをつかんで、リズム良くどんどん刈ってくれました。


その後、稲刈り機にて刈り取る作業も体験しましたが、倒れた稲がコンバインに吸い込まれて行く時に中でどうしても詰まりが起こりやすくなり、途中何度も中断し、詰まりを取っての繰り返しで、この作業には時間がかかりました。


茨城のこちらの農場では、今期、倉庫を一新し、シャワーやトイレなどを新設し、今後当社で主催する様々なイベントに活躍する予定です。現在イベント検討中。田んぼ、畑、自然、地域、史跡など、様々な連携を取るなど楽しみがいっぱいです。お楽しみに。


次は青森での稲刈りです。

ちょうど訪問した時期は雨が多く、機械での稲刈りが難しかった為、手刈りのみの稲刈りをしました。

青森の農場は岩木山からの雪解け水が土壌や川へ流れ、自然豊かでお米作りに適した場所にあります。これまで作っていた「つがるロマン」の品種は昨年で終了し、今年から「はれわたり」という新品種となりました。


「はれわたり」https://www.umai-aomori.jp/harewatari/


2022年にデビューした、青森県の最も新しいブランド米です。もっちりとしてやわらかい食感が特徴で、病気になりにくく生産しやすいお米というのも大きな特徴です。


名前の由来は「このお米で気持ちが晴れやかになるように」という思いが込められています。


誕生の経緯は、それまで、津軽地方でしか栽培できないブランド米の「青天の霹靂」に対し、南部地方でも作れるブランド米として、13年もの開発期間を経て誕生しました。「はれわたり」の親は「青系169号」と「青系170号」という青森産の品種で、父親は良食味、母親は栽培のしやすい品種がルーツとなっています。


また、これまで青森で開発したお米の品種はすべて、県外産の品種混ざっていましたが、純青森産の品種は「はれわたり」が初めてです。


食味ランキングでは2022年に「特A」と評価され、翌年も2年連続獲得しました。


雨が降ったり止んだり不安定な天候の中、雨の上がった合間をぬって手刈りでの稲刈りをスタートしました。稲を見るとこれまでの米粒より少し大きな印象。でも、ひとつの穂になっている米の数が少し少なく感じました。そこで今年の新品種について現地農家の木村さんにインタビューしました。


岩松「今年は新しい品種ですが作った感じいかがでしたか」


木村「はれわたりは、品種改良して出来た品種なのに、収量が少ないです。いもち病には強い。倒伏はしている割には収量が上がらない。倒伏していると普通は収量があるのに今回は違う。重さに耐えられず倒れているのではなく、腰が弱く倒れている感じです。(風や雨で)

穂が小さくて収量が上がらないと、知り合いの農家も言っていた。外面はすごく良いが中を見ると短い、刈ってみると収量が上がらないです。」


岩松「台風や夏の暑さなども影響しているのかもしれませんね」


岩松「品質的にはいかがでしたか」


木村「収量が少ないだけで品質は去年と同様です。」


岩松「このところ、お米の価格が上昇していますが農協や組合での買取りはどんな感じですか」


木村「青森県の米が1番高いです。5キロで5000円とかそんな値段になっています。(普通は2000円くらい)これまで10キロ3000円前後だったのに、今回は4700円くらいとかになります(卸値)。お米バブルがおきています。関東のコシヒカリより高いかもしれない。」


岩松「こちらでは他にどんな品種のお米を作っていますか」


木村「全部で4品種作っています。はれわたり、月あかり、まっしぐら、ゆたかまる(飼料用米)です。なかでも、まっしぐら(業務用向け)は人気ある、作る側も肥料やって作りやすい。倒れないから収量も多い。値段も安く仕入れられて、食味もある程度良い米なので、重宝されている。業務用の外食とかそういうところに使われています。」


岩松「まっしぐらは作りやすく美味しいお米なのですね。ありがとうございました。」


稲刈りの後はこの農場で採れた野菜や地域産のお肉を中心にバーベキューをして頂きました。そして、せっかくなので収穫したての米を炊いて試食。精米仕立てとのこともあり、みずみずしくそして粒が大きくもっちりしたお米。味の濃いバーベキューとの相性もバッチリでとても美味しく頂きました。美味しいご飯ありがとうございます。収穫の喜びを感じた瞬間でもありました。


今後、社員やお世話になった皆様にお届けする予定です。

残念ながら豊作とは言えなかった今年のお米ですが、皆様に美味しくお召し上がり頂きたいと思います。



記者:岩松美千子 

Copyright@2022アーバンシステム All right reserved

Copyright@2022アーバンシステム All right reserved